What's the matter? No matter - 仏教ブログ

個人的趣味で仏教を勉強するためのブログです。ブログ主は菩提寺を除いて特定の宗教団体と関わりを持っていません。

聖提婆が外道を調伏した話(『大唐西域記』より)

[0897a27] 大城西南瞻博迦華林中,有窣堵波,無憂王之所建也。基雖傾陷,尚百餘尺,在昔如來於此處降伏外道。其側則有髮、爪窣堵波、經行遺迹。

[0897b02] 髮、爪窣堵波側,有故伽藍,是提婆(唐言天受)菩薩作《廣百論》挫小乘、伏外道處。初,提婆菩薩自南印度至此伽藍,城中有外道婆羅門,高論有聞,辯才無礙,循名責實,反質窮辭。雅知提婆博究玄奧,欲挫其鋒,乃循名問曰:「汝為何名?」提婆曰:「名天。」外道曰:「天是誰?」提婆曰:「我。」外道曰:「我是誰?」提婆曰:「狗。」外道曰:「狗是誰?」提婆曰:「汝。」外道曰:「汝是誰?」提婆曰:「天。」外道曰:「天是誰?」提婆曰:「我。」外道曰:「我是誰?」提婆曰:「狗。」外道曰:「誰是狗?」提婆曰:「汝。」外道曰:「汝是誰?」提婆曰:「天。」如是循環,外道方悟。自時厥後,深敬風猷。

 

 

〔鉢邏耶伽国の〕大都市の西南、キンコウボク(Campaka)の林の中にストゥーパがある。アショーカ王が建てたものである。基礎は傾いているが、百余尺ほど〔地中に〕埋まっている。かつて〔釈迦牟尼如来がここで外道を降伏したのである。そのそばに〔如来の〕頭髪と爪〔を収めた〕ストゥーパがあり、〔如来が〕経行した遺跡がある。頭髪と爪のストゥーパのそばに元僧院がある。これは提婆菩薩が『広百論』を述作して小乗を挫き、外道を打倒した場所である。最初に、提婆菩薩は南インドからこの僧院まで来た。都市の中に外道のバラモンが居て、高度な論議〔をなすこと〕で有名であり、弁論の才は〔誰も〕碍げる者がなかった。名辞を循環させて、指示対象について責め立てるので、〔対論した〕回答者は答えに窮した。〔彼は〕提婆菩薩が博学であり〔智慧が〕奥深いことを伝え知って、その栄光を挫こうと欲した。そこで〔提婆菩薩に〕循環名称論法によって問いかけた。「 汝の名前は何か?」と。提婆菩薩は答えた、「デーヴァ(devaḥ)である」と。外道は言った、「デーヴァとは誰か?」と。提婆菩薩は答えた、「私(ahaṃ)である」と。外道は言った、「私は誰か?」と。提婆菩薩は答えた、「ボーヴァーディン(bho-vādī)である」と。外道は言った、「ボーヴァーディンは誰か?」と。提婆菩薩は答えた、「汝(tvaṃ)である」と。外道は言った、「汝は誰か?」と。提婆菩薩は答えた、「デーヴァである」と。外道は言った、「デーヴァとは誰か?」と。提婆菩薩は答えた、「私である」と。外道は言った、「私は誰か?」と。提婆菩薩は言った、「ボーヴァーディンである」と。外道は言った、「ボーヴァーディンとは誰か?」と。提婆菩薩は答えた、「汝である」と。外道は言った、「汝は誰か?」と。提婆菩薩は答えた、「デーヴァである」と。このような循環論法〔による問答がなされている〕まさにその時、外道は悟りを開いた。その時の〔外道の〕敗北以後、〔この地では、仏教を〕深く敬う気風が蒔かれた。